【コーヒーの歴史】日本に初めてコーヒーが来たのはいつ?歴史と文化をたどる
コーヒーの発祥には諸説あります。アフリカの羊飼いカルディが赤い実を食べて踊りだすヤギを見た説や、イスラム修道者が謎の赤い実の煮汁で空腹や疲れを癒したとされる説が有名です。
そんなコーヒーが日本に来たのは、文明開化よりも前と言われています。今回の記事では、日本におけるコーヒーの歴史と文化について解説していきますので、ぜひご覧ください。
日本にコーヒーが来たのは江戸時代
日本にコーヒーが伝わったのは、いつ頃なのかご存知でしょうか?実は、江戸時代までさかのぼります。明治維新を皮きりに、文明開化によって西洋文化が流入してきてからコーヒー文化は更なる発展を続けていました。この章では、日本でのコーヒーの始まりについてご紹介します。
長崎・出島のオランダ人商人がコーヒーを広めたとされる
江戸時代の日本は鎖国をしてましたが、唯一長崎の出島で貿易が許可されていました。当時、出島を訪れていたオランダ人商人が、コーヒーを日本に紹介したとされています。しかし、その当時は通訳やお役人などごく一部の人だけしかコーヒーを飲むことができませんでした。
日本で初めてコーヒーを飲んだ人は?
日本でコーヒーを初めて飲んだ人物は、諸説ありますが下記の3人が有力とされています。
・大田南畝(出島に出入りしていたとされる役人)
・吉雄耕牛(出島のオランダ語通訳・蘭学者・医師)
・島津重豪(薩摩藩の第8代藩主)
ご覧の通り、出島へ入れた特別な役職者だけがコーヒーを飲めていました。しかし、大田南畝は「焦げた風味がしてとても飲めるものではない」といった内容の感想を書物に残していました。
文明開化と共に広がるコーヒー文化
明治維新を迎え、文明開化で西洋文化の流入が活発になると同時に、コーヒーの文化はますます進歩しました。コーヒー豆の輸入ができるようになり、日本国内でのコーヒー豆栽培が始まったのも同じ時期です。そして、日本初の喫茶店も誕生して人々の憩いの場となりました。この章では、日本初の喫茶店とコーヒーを広めた「パンの会」について紹介します。
日本初の喫茶店は『可否茶館』
1858年、日米修好通商条約が結ばれたのを機に、コーヒー豆の正式な輸入が開始されました。その30年後、鄭永慶(ていえいけい)によって日本で初となる喫茶店「可否茶館」が東京上野・西黒門町にオープンしました。可否茶館には、コーヒーの他にもトランプやクリケットを楽しめる設備があったとされています。可否茶館の開店を機に、浅草や日本橋、大阪にもコーヒー専門店が続々とオープンしました。
『パンの会』がコーヒーの先駆け
大正時代、森鴎外や石川啄木などの有名な文豪たちが集まり、日本橋の「メゾン鴻の巣」でパンの会という会合を開いていました。このお店は、フランスの深煎りコーヒーを楽しめるお店で文士たちの憩いの場ともなっていました。その後も『カフェパウリスタ』など、一般市民でも楽しめるコーヒー店が誕生してコーヒー文化が一気に広まりを見せます。
近代化で変わるコーヒー
近代化が進み、人々にコーヒーがようやく親しまれて来た頃に、戦争による輸入規制でコーヒーの輸入が出来なくなってしまいます。苦難を乗り越えて、日本でさらにコーヒーを飲んでもらえるようにと、コーヒーに関わる人々は缶コーヒーの開発とインスタントコーヒーの輸入に踏み切ったのです。
戦争で一時期輸入が出来なくなる
一度は日本に普及したコーヒーですが、戦争が激しくなってきた1942年にはコーヒー豆の輸入が完全にストップ。コーヒーは「贅沢品」や「敵軍の飲み物」といわれ、気軽には飲めなくなりました。ようやくコーヒー豆の輸入が再会したのは、終戦から5年後の1950年頃です。コーヒーの物品税が安くなり、戦後復興に合わせてホテルや喫茶店などでコーヒーの提供が再開されました。それでも、まだ庶民には手が届きにくいものでした。
缶コーヒーやインスタントコーヒーの誕生
インスタントコーヒーが市場に出回るようになったのは、1956年頃からです。およそ5年後の1960年にコーヒーの生豆、その翌年にはインスタントコーヒーの輸入が自由化されて、コーヒーがさらに日本文化に浸透していきます。その9年後には上島珈琲は缶コーヒーを開発しました。缶コーヒーは大阪万博で盛大な人気を博し、それから缶コーヒーが日本中に広まっていきました。こうして現在、さまざまなシーンでコーヒーが誰でも気軽に飲めるようになったのです。
コーヒーの歴史を知ってさらに深く味わおう
コーヒーは、長い歴史の中で徐々に生活の中に浸透していきました。戦争があってコーヒーが飲めない時代もありましたが、それでも諦めずに先人たちがコーヒーを一人でも多くの人に飲んでもらおうと試行錯誤してきました。そして現在、私たちの生活にコーヒーが馴染んでいるのです。歴史を知り、コーヒーをさらに深く味わいましょう。
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