
【コーヒーの蒸らし】ぶっちゃけ何秒が正解?プロが「0秒・30秒・60秒」で飲み比べた驚きの結果
コーヒーをドリップするとき、当たり前のようにやっている「最初にお湯を少し注いで待つ時間(=蒸らし)」。

あれっていったい何のためにやっていて、そもそも本当に必要なのでしょうか?
もし必要なら、何秒待つのが正解なのか、深く考えたことはなかったですよね。
僕はコーヒー豆屋として日々たくさんの質問に答えていますが、「ドリップの工程で一番大事なポイントは?」と聞かれたら、迷わずこの「蒸らし」だと答えています。
蒸らしがうまくできるかどうかで、コーヒーの「甘み」や「コク」がガラリと変わるからです。
今回は、蒸らし時間を変えると味にどんな違いが出るのか、プロが実際に実験した結果からズバリ結論をお届けします!
結論:基本は30秒。でも「飲みたい味」で変えるのが正解!
同じコーヒー豆(ブラジル中深煎り)を使い、蒸らし時間だけを「0秒・30秒・60秒」に変えて味を飲み比べました。
その驚きの結果がこちらです!

左から、Ⓐ0秒、Ⓑ30秒、Ⓒ60秒 蒸らし時間の違いの3パターン
Ⓐ蒸らし時間0秒:
味の輪郭がはっきりせずに、ちょっと薄いコーヒー。
ただ、予想していたよりも全然ダメってわけじゃなく、スッキリしててこれはこれで好みって人もいるかも?
Ⓑ蒸らし時間30秒:
香り、味の輪郭もしっかりしている。甘味も感じられるし、余韻もしっかり長い。
Ⓒ蒸らし時間60秒:
香りは1番良い感じ。味の濃度も濃く余韻も長いけれど、ちょっと雑味が混じっている。
余分なところも出ちゃったな―って味。
でもカフェオレとかにするなら1番良さそう。
検証して分かったのは、「蒸らし時間が長いほど、味が濃くなる(ただし長すぎると雑味も出る)」という事実です。
「いつだって30秒が正解」というわけではありません。
ストレートで飲むなら30秒、カフェオレにするなら60秒など、その日の飲み方やお好みに合わせて自由に調整していいんです!
≪検証実験の条件≫
◉中挽き
◉蒸らしの湯量 40cc
◉蒸らしの湯温 90℃
◉出来上がりのコーヒー 300cc
以上の条件は同じにして、蒸らし時間をⒶ0秒、Ⓑ30秒、Ⓒ60秒の3パターンで味の違いを検証してみました。
『蒸らし』とは、美味しい成分を出すための準備運動!
焙煎したコーヒー豆の表面には、目に見えない小さな穴が無数に空いています。
ここに一気にお湯を注いでしまうと、穴の中にお湯がしっかりと浸透できず、コーヒーとお湯がなじまないまま薄い成分だけが流れていってしまいます。
これが「0秒(蒸らしなし)」のときに味が薄くなってしまった理由です。


最初に少量のお湯を注いで「準備運動(蒸らし)」をさせてあげることで、穴の奥までお湯がジワリと浸透し、コーヒーの美味しい成分(甘みやコク)を効率よく引き出せるようになります。
蒸らしのコツは「たっぷりのお湯」。
この準備運動を成功させるコツは、「コーヒー粉の質量の、倍の重さのお湯を使うこと」です。
(例:粉が10gならお湯は20cc、粉が20gならお湯は40cc)

ドリップ教室をやっていると、「蒸らしのお湯が下のサーバーにポタポタ落ちるのが怖くて、ちょっとしか注げない」という方をめちゃくちゃたくさん見かけます。
でも、安心してください。下に少し落ちるくらいでちょうどいいんです!

蒸らしは「美味しい成分をしっかりなじませるための準備運動」です。
お湯が少なすぎて中にドライ(乾いた)な部分が残ってしまうと、その部分には蒸らしの効果が一切なくなってしまいます。
サーバーに落ちるのを怖がってちょろちょろ注ぐより、粉全体に行き届くように「たっぷり」注ぐ方が何倍も大切です。
蒸らしでは、使う粉の質量に対して、倍の質量のお湯を使って下さい。
— ヤマとカワ珈琲店|長野市のコーヒー豆屋 (@yamatokawa_coff) February 20, 2021
つまり20gのコーヒー豆だと、40ccのお湯を使う感じですね。(この動画がその量)
家でコーヒーを飲む時にイチイチ蒸らしのお湯の量まで測る必要はないですが、『けっこうたっぷり使うんやな!』てことだけ覚えておいてください! pic.twitter.com/8xtbft5OLZ
一度試してみて「だいたいこれくらいか」と感覚を掴んだら、あとは『蒸らしのお湯は、粉全体に行き届くようにたっぷり使う』とだけ覚えておいてください。
また、お湯を注いだあとにドリッパーを「くるくる」と軽く揺すってあげるのも、全体にお湯をなじませるのにとても有効ですよ!
蒸らしのお湯を注いだ後にドリッパーをくるくる揺するのは、粉全体にお湯を行き届かせるのにとても有効です。 pic.twitter.com/eQHQOKrGkW
— ヤマとカワ珈琲店|長野市のコーヒー豆屋 (@yamatokawa_coff) October 24, 2021
揺することで粉全体にお湯が行き届きやすくなります。
「ムクムク膨らむ=美味しいコーヒー」は勘違い!?
コーヒーにお湯を注いだとき、ハンバーグのようにムクムクと勢いよく膨らむと「上手く淹れられた!」と嬉しくなりますよね。

逆に、全然膨らまないと「私の淹れ方が下手くそなのかな……」と自分の腕を疑ってしまう方もドリップ教室でよく見かけます。
でも、安心してください。膨らむか膨らまないかは、あなたの腕前とは一切関係ありません!
膨らむのは「新鮮なガス」が出ているだけ
豆が膨らむ正体は、焙煎するときに豆のなかに閉じ込められた「ガス」です。
お湯を吸収したときに行き場をなくしたガスが外へ出ようとするため、ムクムクと膨らみます。

つまり、膨らむのは「焙煎してから時間が経っていない新鮮な証拠」というだけで、コーヒー豆自体の質が良いか悪いか(美味しいかどうか)は関係ないんです。
逆に、全然膨らまない4つの原因
1.粉の状態で保存している: 豆を粉に挽いた瞬間、ガスは一気に抜けてしまいます。粉の保存だと、約2週間ほどで膨らまなくなります。
2.焙煎してから日が経っている: 豆のままでも、常温で1ヶ月ほど経つと自然にガスが抜けていきます。
3.「浅煎り」の豆である: 浅煎りの豆は焙煎時間が短いため、もともと中に含まれるガスの量がとても少ないです。
4.お湯の温度が低すぎる、または粉が粗すぎる: お湯がぬるすぎたり、粉が粗すぎたりするとガスが反応しにくくなります。
味が美味しければ、膨らまなくてもOK!
極端な話、すごく質の悪い豆でも焙煎直後なら爆発的に膨らみますし、最高級の美味しい豆でも、浅煎りだったり1ヶ月経っていれば全く膨らみません。
むしろ、勢いよく膨らみすぎる豆はガスがお湯を弾いてしまって薄く抽出されやすいので、いつもより少し長めに蒸らしてガスをしっかり抜いてあげる必要があるくらいです。

「膨らむかどうか」はただの新鮮さの目安。
最終的に淹れたコーヒーが「美味しい!」と思えれば、膨らまなくたって大正解ですよ!
まとめ:「いつだって30秒」じゃなくていい!
今回は、ドリップで一番大切な「蒸らし」の秒数と役割について解説しました。
実験結果をサクッとおさらいすると、こんな感じです!
- すっきり飲みたいとき: 蒸らし【0秒】(少し薄めだけど、軽い味が好きな人に!)
- いつもの王道の味: 蒸らし【30秒】(バランス最高!甘みも余韻もバツグン)
- カフェオレにしたいとき: 蒸らし【60秒】(濃厚でどっしり!ミルクに負けないパンチが出る)

「絶対に30秒じゃなきゃダメ!」なんてルールはありません。
ストレートで飲むときは30秒、ミルクと割るときは60秒。
そんな風に、その日の気分や好みに合わせて、気楽に蒸らし時間を変えて遊んでみてください。
コーヒータイムがもっと新しく、楽しいものになりますよ!
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