【コーヒードリップの基礎知識】"蒸らし"の効果とは

【コーヒードリップの基礎知識】"蒸らし"の効果とは

コーヒーのドリップをする時に、必ず『蒸らし』ってやってますよね。

当たり前のようにやっている『蒸らし』ですが、

あれっていったい何のためにやっているんでしょう?
てゆーか、そもそも、『蒸らし』って必要なの??
必要なら、何秒蒸らすのが正解なの???

この記事では、実験を通じて、最適な『蒸らし』とはどんなものかを解説していきます!

そもそも蒸らしってナニ?

コーヒーをドリップする時に、まず最初に少量のお湯を注いでしばらく待つ工程がありますよね。これを『蒸らし』といいます。

実は、焙煎したコーヒーの表面には目に見えないような小さい穴があります。
ここに一気にお湯を注いでしまうと、その穴にお湯が浸透できず、その状態のままコーヒーの成分を抽出することになり、効率よく抽出することができません。

蒸らしをすることで(しばらく待つ時間をつくることで)、この小さい穴の中にもしっかりお湯が浸透し、美味しい成分が効率よく抽出されます

つまり、『蒸らし』とは、美味しい成分を効率よく抽出するための準備運動なのです。

蒸らしってどうやるの?

『蒸らし』のやり方は、ドリッパーにコーヒーをセットして、少量のお湯を注いで少し待ちます。
“少量のお湯”ってなんか抽象的な表現ですよねー、、、

具体的な量を言うと、使う粉の質量に対して、倍の質量のお湯を蒸らしで使うのがオススメです

上の動画では、粉を20グラム使っているので、蒸らしのお湯は40グラム使いました。

(一応お伝えしますと)今回は発信用ということもあって、重量を正確に計測しましたが、家でコーヒーを飲むときはイチイチ蒸らしに使うお湯の量まで計測する必要はないかなーと思っています。

ただし、『蒸らしに使うお湯はたっぷり使う』と覚えておいてください。
蒸らしに使うお湯が少ないと、粉全体にお湯が行き届かなくなり、蒸らし不足な状態のまま抽出することになってしまいますので、ご注意ください!

蒸らしは何秒がいいの?検証実験

『蒸らし』は何のためにやっているのかを理解していただいたところで、
次は、蒸らしは何秒が正解なのかを実験して検証してみたいと思います。

≪検証実験の条件≫

◉使う豆はブラジル中深煎り 20グラム
中挽き
◉蒸らしの湯量 40cc
◉蒸らしの湯温 90℃
◉出来上がりのコーヒー 300cc

以上の条件は同じにして、蒸らし時間をⒶ0秒、Ⓑ30秒、Ⓒ60秒の3パターンで味の違いを検証してみたいと思います。

実験開始!


まずはお湯を少量注いで蒸らします。
Ⓐは蒸らし時間を置かずにそのまま抽出へ。Ⓑは30秒、Ⓒは60秒蒸らしたあと抽出へ。


300ccまで抽出します


こちらが、蒸らし時間以外を全く同じ条件で抽出したコーヒーの色の違いです。
左から、Ⓐ0秒、Ⓑ30秒、Ⓒ60秒 蒸らし時間の違いの3パターンです。

色の見た感じでは、あんまり変わりはないですねー、、
(もっと分かりやすく色の違い出ると思ったのになー)

結果

Ⓐ蒸らし時間0秒
味の輪郭がはっきりせずに、ちょっと薄いコーヒー。
ただ、予想していたよりも全然ダメってわけじゃなく、スッキリしててこれはこれで好みって人もいるかも?

Ⓑ蒸らし時間30秒
香り、味の輪郭もしっかりしている。甘味も感じられるし、余韻もしっかり長い。

Ⓒ蒸らし時間60秒
香りは1番良い感じ。味の濃度も濃く余韻も長いけれど、ちょっと雑味が混じっている。余分なところも出ちゃったな―って味。
でもカフェオレとかにするなら1番良さそう。

まとめ

蒸らしは、美味しい成分を効率よく抽出するための準備運動と最初にお伝えしましたが、その準備時間、つまり蒸らし時間が長いほど、“味が濃くなる”ことが分かりました。

じゃあ長ければいいかと言えばそうじゃなくて、蒸らし時間が長いと雑味まで出てしまいました。
今回の結果からは、蒸らしは30秒が1番バランスがいいように感じました。

ただ、今回お伝えしたかった1番大事なポイントとしては、30秒がいつだって正解では無いということです。

ストレートで飲むときは、蒸らし30秒の味が好みですが、
カフェオレにするときは、蒸らしを60秒おいて少しパンチのある味の方がミルクと混ざった時に良いバランスでした。

蒸らし時間を長くすると、味も濃くなる(でも長すぎると雑味もでる)

この事実だけ覚えていただき、
みなさんの好みによって、飲みたいコーヒーによって、蒸らし時間を調整できるようになると、コーヒータイムがより一層楽しいものになりますよ!

余談①:蒸らしの時に膨らむのはナゼ?

コーヒーの粉にお湯を注ぐと勢いよくムクムクーっと膨らみます。
これは、コーヒーの粉からガスが放出されているからです。

コーヒー豆は焙煎されている間にたくさんのガスを作ります。
そこにお湯を注ぐことで、粉がお湯を吸収し、行き場がなくなったガスが放出されて粉全体がムクムクと膨らむのです。

ガスは焙煎からの時間経過とともに自然と揮発してしまいますので、
ムクムクと勢いよく膨らむのは、焙煎してから時間がたっていない新鮮な証拠なのです!

余談②:ムクムク膨らむ豆は美味しいの?

ですが、ここで注意点!!
膨らむ=美味しい、膨らまない=マズいとは限らないのです。

膨らむ=美味しい、とは限らない

仮に、すんごい質が悪いコーヒー豆であっても、焙煎直後であれば勢いよく膨らみます。
豆が膨らむ要因は焙煎時のガスが放出されるからなので、コーヒー豆の質が良いか悪いかは関係ないんですね。
なので、ムクムク膨らんだとしても、出来上がったコーヒーが美味しくない、、、なんて可能性もあります。

また、勢いよく膨らむということは、放出されたガスがお湯と粉との接触を妨げ、抽出の邪魔をしていることになります。
いつもと同じように淹れたはずなのに、いつもより薄いコーヒーに仕上がってしまうことがあるので注意しましょう。

蒸らしの時に勢いよく膨らむ豆のときは、いつもより蒸らしの時間を長くとってガスをしっかり抜いてから、抽出しましょう

膨らまない=マズい、とも限らない

時々、全然膨らまないコーヒー豆もありますが、あれって実は抽出の腕が悪いからではないんです!(みなさん自分の腕を疑いがち、、)
膨らまないのは、別の原因があります。

焙煎した日から時間が経過している

コーヒー豆は焙煎している間にガスを生成し、それらは焙煎からの時間経過とともに揮発していってしまいます。
つまり、焙煎してから時間が経過している豆は膨らみません。

ヤマとカワのコーヒー豆(中深煎り系)だと、常温保存で約1か月ほど経過したら膨らみが悪くなりますね。

粉の状態で購入している

焙煎で生成したガスは、粉に挽いた時に一気に放出されます。
さらに、粉で保存していると、保存期間中のガスの揮発量も豆の状態に比べて多いです。
粉の状態で長期間保存していると膨らみません。

粉の状態だと、約1週間ほど経過したら膨らみが悪くなりますね。

浅煎りの豆である

浅煎りの豆は焙煎時間が短いため、焙煎中に生成するガスの量が少ないです。
そのため、浅煎りの豆は膨らみません。

また、(深煎りに比べて)水分量も多いため、比重が重くなり膨らみも悪くなります。

その他

粉の挽き具合が粗すぎたり、蒸らしに使うお湯の温度が低すぎたりすると、膨らみが悪くなります。

膨らむ現象と味との関係性まとめ
      • 膨らむ=美味しい、とは限らない
      • 膨らまない=マズい、とも限らない
      • 膨らむか膨らまないかは、新鮮かどうかの判断だけ
    • 淹れたコーヒーが『美味しい味』になっていればOK。
      膨らむかどうかにそこまでこだわる必要ナシ!